人気ブログランキング | 話題のタグを見る
NEW POST

イースターの日曜日

イースターの日曜日_e0357367_16225836.jpg


ドイツ語でイースターのことをOsternオースターンというのですが、オースターンの頃に咲く黄色いラッパスイセンのことをオースターグロッケ(イースターの鐘)と呼ぶのですよ。イースターの日曜日、キリストの復活を祝う日です。教会では特別なミサが催されます。家庭では家族で集まって一緒に食事して祝います。子供がいる家庭では、小さい篭に色付けされたゆで卵や卵形のチョコレートをたくさん詰めて、庭や家の中に隠して、子供に探させる風習があります。

イースターといえば、アルチュール⋅ランボーの詩の言葉が思い出されてきます。

「洪水のゆめ、消ゆるとき
野うさぎが、クローバーの草むらに立ち、
つりがね花を打ちふるい、
くものあみのかなたより七いろの虹に、
いのりをささげしとか......」

つりがね花、カンパニュラはイースターの頃じゃなくて晩春に咲くのだそうです。イースターに捧げた詩ではないのですが、いつもイメージ的にこの詩の言葉が思い浮かんできます。これまでもイースターになると、この詩の言葉をよく引用していてるのですが(笑) この言葉を引用したのは実は料理の本でして。30数年前ドイツに渡ってくる時に「修道院の台所から」っていう料理の本がとっても気に入って1冊だけ持ってきました。この本の中にはレシピの他にも色んな格言や詩の言葉などが挿絵と一緒に綴られているのですが、その本の一番最初に紹介されてる言葉がこのランボーの詩だったんですよね。

イースターで一番思い出に残ってる体験は、10年ほど前のこと、イースターの朝まだ露が草地に残ってきらきらと輝いている時間、近くの森の中に散歩に行くと、あの頃森の中に小さな牧場があって、そこで馬1頭とポニ−1頭とヤギが2匹暮らしていたのですが、柵の前を通りかかると、一緒に飼い葉桶を囲んで食事中でした。朝まだ早い静謐な森の中、感じるのは風と樹々の気配のみ、聞こえてくるのは小鳥たちの声のみ、様々な生き物たちが一緒に仲良く平和に食事をしてる姿が復活祭の朝に似合っていて、あの光景がとても印象に残っています。あの牧場は今ではなくなっていて、壊れた柵の跡が残っているのみ。かつては牧場だったあの場所を通る度にあのイースターの朝を思い出します。

イースターの日曜日_e0357367_16271823.jpg

by sternenlied | 2016-03-27 17:08 | 季節

木陰のアムゼル2号庵にようこそ。ドイツで暮らしています。散歩と旅が大好き。琴線に触れたもの達をここに拾い集めていきたいと思います。そして目に留まった日常のさりげない一コマも。


by sternenlied